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305: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:36:39.25 ID:INB8T+r40
お化け出てこないし抽象的だし
オチとか無いしもやもやして
後味も悪い上にやたらめったら
長いけどオカルト的な実体験について
書いちゃったのでこっそり投下させてね 

誰にも言えることじゃないから
ここで初めて告白するんだけど 
僕はずっと前にタヒんでる

306: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:37:55.77 ID:INB8T+r40
小学三年生だった僕は一学期の
終業式が終わり
明日からの夏休みに思いを馳せ
帰宅していたのだけれど
住宅街に入りあと二つほど
角を曲がれば自宅だという時に
急に後ろから突き飛ばされた
ような衝撃に襲われた

ずぼらだった僕は先生から毎日
少しずつ持って帰るようにと
言われていたのに教科書や
道具箱など全部おきっぱなし
だったので両手に手提げ袋
満杯の荷物を持っていて
咄嗟に手を着くことも出来ず
つんのめって盛大におでこを
アスファルトにぶつけた

ごっちーん!と冗談の様な音がして
目の前に火花が飛び散るのを感じたよ

それなのに全く痛みがやってこないのを
不思議に思っていて
とりあえず起き上がろうと
するんだけれど体の感覚が一切ない

あれ?指ってどうやって動かすっけ?
というか手ってどこにあったっけ?

そんな風に焦ってしまうぐらいに
何も感じなくなってしまった

薄目しか開いていない視界には
アスファルトのでこぼこが
どアップに映っていて

カビっぽいというか油っぽいというか
苦いというかそんな地面のにおいが
一番記憶に焼き付いている

そうして動けずにいるとぐるんと
視界がまわって明るくなった

体をひっくり返されたらしい

瞼の開け方も閉じかたも
眼球の動かし方も思い出せない

地面との衝突音の後から音も
聞こえなくなってた

そうしてしばらく視界がぐるんぐるんと
激しく動いたかと思うと
景色が焦げ茶色の毛羽だった
布地のどアップに変わって落ち着いた

ずっこけてから普段はあんまり
意識してないはずの嗅覚だけが
何故かやけに鋭敏になっていて
表現がしづらいのだけど
「初めて行った他人の家のにおい」
に近い臭気を強く感じる

後はほんのり芳香剤っぽい
人工的な花の香り

307: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:42:01.22 ID:INB8T+r40
そんな風に考えていると視界が
不規則に揺れていることに気がついた

特に焦げ茶以外に見えるものとかは
ないんだけど不意に今自分は
他人の車に乗ってるんだって閃いた

ウチの車の後部座席で横になって
寝転がっている時の視界に似てたけれど
家の車はシートが灰色だから他人の車だって

それから時間の感覚とかも全く
なかったけれど多分かなり
長い時間揺られていたと思う

その間に何となく考えていたのは
多分僕はこの車に後ろから
ぶつかられたんだなぁって事

頭ぶつけて体を動かせなくて
耳も聞こえてないんだなぁって事

病院に連れていってくれてるんだろうなぁ
でも手術とかするのかな怖いなぁって事

相変わらず痛みも体の感覚もない

ただ視界一杯の焦げ茶色と他人の車らしき
においだけがずっとこびりつくみたいに
記憶に残ってる

それからまたしばらくして景色が
ぐるんぐるんと目まぐるしく
変わるとにおいが変わった

重い感じの…
脂っぽくてすっぱくて少し煙っぽい…

嗅覚って人に伝えるの本当に難しいけれど
おそらく「汗かいたおじさんのにおい」が
想像しやすいかもしれない

そしてほんの少し木とか草のにおいがした

いやな予感はしてたんだよ

病院っぽいにおいとかしないんだもん
うっすら見える光景は明らかに屋外だし
夕方越して宵の口だし家の近所と
比べて自然豊かにも程があるし

視界がぐわんぐわん動く度に
湿った草と土のにおいが濃くなっていく

案の定次に見えたのは茶色い土の
どアップ

そして噎せ返るほど強烈な湿った
土のにおい

これ母さんが良くテレビで観てる
奴でよくあるシーンだ!

308: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:43:45.58 ID:INB8T+r40
なんて考えていたらすぐに真っ暗に
なって視覚も遮られた

ただただ嗅覚だけが何故か
ずっと残っている

土臭い
なにも見えない
なにも聞こえない
動けない
怖い寂しい
土臭い

思考はずっとそのループで苦しいとか
痛いとかは一切感じなかった

土臭い
なにも見えない
なにも聞こえない
動けない
怖い寂しい
土臭い

何度も何度もそう考えて時々それまでの
人生を思い出して悲しくなって
でも涙も出ないし声もでないし痛くなる
胸の感覚も思い出せなくて

土臭い
なにも見えない
なにも聞こえない
動けない
怖い寂しい
土臭い

時間の感覚もなかったけれど数分とか
数時間とかじゃなくて永遠だと
感じるぐらいずっとそれを
ループしてループして
ぱちくりとまばたきをすると
「大蔵じいさんとがん」
を読みながら良い話だなと
胸を熱くしていて

あれ?ん?まてどうして?

309: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:45:49.39 ID:INB8T+r40
僕はさっきまで土の中で?
いやそんなことあり得ないし?
今は授業中だったよね?え?

突然とてつもない恐怖とか絶望とか
哀しみとかが押し潰すみたいに
襲いかかってきて

僕は授業中の教室で叫びながら泣き出した

今何してるかの記憶はある

小学五年生の二学期で三時間目の
国語の授業中だ

昨日何してたかも思い出せる
一昨日も先週の土日どこで誰と遊んだかも

でも一ヶ月前以前のことは
これっぽっちも思い出せない

そしてそれ以前で思い出せるのは
三年生の終業式の日

それ以前のことはぼんやりとだけど
ちゃんと思い出せる

すっぽりとあの夏休み前日から
五年生の夏休み明けまで記憶が抜けている

それなのに当然クラスメイトも
自分自身も成長しているはずだけど
別に違和感はない

担任教師も変わっていたけれど
その事も理解している

頭ぐちゃぐちゃで不安で怖くて辛くて
悲しくて気味が悪くてとにかく叫びながら
震えることしか出来なかった

さっきまで普通に授業を受けていた
生徒が突然発狂したんだから周囲は
えらい騒ぎだったらしいけど僕は
怖くて怖くて泣きながら蹲って
震えていた事しか覚えてないや

授業どころじゃなくて先生が担いで
保健室直行してそこでも会話に
ならなくて

しばらくして母親が迎えに来てくれたけど
歩くこともままならず
五年生をだっこで車に乗せるのは
大変だったと怒られた

その時は震えていただけだったらしいけど
車に乗ったことでまたスイッチが入ったらしく
大絶叫してついに意識なくしたようだ

次に目が覚めたのは自室のベッド

夜中だったから数時間かと思ったら
丸々二日以上寝てたらしい

310: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:47:22.13 ID:INB8T+r40
当然親とか教師とか皆に何が
あったのか聞かれたんだけど
あんまりに気味が悪いし不吉だし
頭おかしいって当時も理解していたから

うとうとして居眠りしたら凄く怖い夢を
みちゃってそれが凄くリアルで…
って話で濁してた

明らかにそんなレベルの発狂じゃなかったから
皆何となく気を使って納得したフリをして
くれてたんだと思う

親には一度医者にもつれてかれたし
多分あれは精神科だったんだろうけど
普通に受け答えしていたら特に
異常なしで終わったよ

それから時々僕の空白の時間について
家族や友人に話を聞いていったんだけど
特に性格が変わったとか異変が
あったとかは一切なかった

三年生の一学期の終業式も何事もなく
帰宅して夏休みには予定通り
旅行に行ったらしい

旅行を予定していたことは
覚えているけれど行った記憶はない

五年生の夏休みまでに旅行やら
遠足やらで行った場所は高校卒業までに
折を見て再訪してあるけれど記憶が
呼び覚まされることは一切なかった

むしろもっと小さいときに一度来た事が
あるのを思い出して更に空白期間の
存在を強めることになったよ

ちなみにその約二年の間に僕の
地元地域では日本中が記憶している
位の大事件が二つあった

それも一つは地元で起きた災害なので
親兄弟も地元の友人も時々その話を
する事があるしそんな事があれば
絶対忘れるはずなんて無いのに
僕は全くその時の事を覚えていない

あと地味に地獄だったのが勉強が
まるまる二年分すっ飛んだ事だったよ

ちゃんと空白の時間も授業を
受けていたようでその間のテストとかは
それなりの点数ちゃんと取れている
物的証拠があるのに当時の僕には
その問題を解く知識が完全に失われていた

311: もっふるさん 2019/08/15(木) 04:48:03.72 ID:INB8T+r40
特に算数はどちらかというと
得意科目だったのにその二年を
取り返せない内に進級していって
しまって中学で完全に躓いた

高校受験前にはなんとか赤点回避
レベルまで追い付いたけど本当に辛かった

でもこの事で何かの問題が起きたのは
これだけ

もちろん今でも山のにおいとか
粘土っぽい土のにおいとか嗅ぐと
不安な気持ちを思い出す事があるけれど
パラレル的な世界でタヒんだ
「僕′」の記憶があの授業中に
何かのエラーでこの世界の「僕」に
上書き保存されてしまったという
現象なのかなって

そういう落とし所をつけたら怖いというより
切ない感じで受け止められるようになった


ということでおそらく
僕はずっと前にタヒんでる

317: もっふるさん 2019/08/15(木) 07:18:45.15 ID:cGltdC0a0
>>311
「2001年の秋」って話に似たような
シチュエーションだな

まあ常識的に考えれば解離性健忘みたいな
症状なのだが医師の診断では異常なしなのか

車に轢かれて土に埋められたと言う
記憶も謎だし

320: もっふるさん 2019/08/15(木) 10:11:37.02 ID:qk3zDWRVO
>>311
事故る直前に平行世界とルート
分岐したのかね

埋められる描写がリアルで怖かった、
乙でした

小説なら埋めたおっさんの顔を覚えていて、
ある日、街中ですれ違って…
という展開もありそう

336: もっふるさん 2019/08/15(木) 13:29:37.61 ID:HatJEP990
>>320
描写が本当に説得力があって怖かった…

視覚や嗅覚が最後まで残ってて、
聴覚や手の感覚がなくなるって
想像出来ない恐怖だね

今まで読んだ話の中で一番怖かったかも

361: もっふるさん 2019/08/16(金) 00:56:05.14 ID:eYO1VaJV0
>>311
おもしろい!


引用元
http://mao.5ch.net/test/read.cgi/occult/1564090249/


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