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295: もっふるさん 2006/11/21(火) 22:55:32 ID:lIvpExQb0
すみません。あれから寝てしまって。
随分と遅くなってしまいました。。。 

取り合えずその彼から聞いた別のお話です。 


母は、と言うか母の家系は、某山と
よからぬ因縁があるらしく、祖母より
決してそこへ行ってはいけないと固く
言われていた。 

「あの山に行ってはいかん。
絶対にいかんよ。行ったら
帰ってこれんようになるよ」と。


ある冬の日、俺が小学校に入って間もないころ、
親戚に不幸があり父と母と俺の3人で
葬儀に出かけた。

全てを済ませて帰りはすっかり夜。
途中夕飯をすませて帰ろうということに
なった。

高速のうどん屋さんで暖まり、
残りの家路へと車を走らせる。

あたりはすっかり夜、時計は9時を
回っていた。

車を走らせて暫くすると父が
「ああ゛~っ」
と大きく欠伸をした。

葬儀の手伝いで1日走り回ったせいか
3人とも疲れて無言。

母はすーすーっと寝息を立て始めた。

俺はぼーっと窓の外を見ながら街灯を
数えアニメの歌などを口ずさんでいた。

ふと気付くと、高速から降りたはいいが
あたりはえらく寂しい。

周りに民家はなく、街灯も少ない。

俺は心細くなり運転する父に
「家に何時ころつくとやか?」
と聞いた。

すると父からは返事がなかった。
聞こえなかったのかな?と思いもう一度
「お父さん、家には何時ころつくんかね?」
と聞く。

暫く返事を待ったがやはり反応がない。

「お父さん?」
ミラー越しに顔を覗き込んだ。


296: もっふるさん 2006/11/21(火) 22:56:13 ID:lIvpExQb0
するとそこには父ではない別人が
座っていた。

いや、実際には父なのだが、全く見たことの
ない表情、能面のような顔が時折流れる
街灯の光を不気味に反射していた。

俺は恐怖で固まり、バックミラー越しの
その父みたいな顔に釘付けになった。

作りで言うと確かに父のそれなのだが
まるで生気がない、まるで誰かが、
プラスチックで作った父の面を
かぶっているかのようだった。

「お父さん?お父さんやろ?どうしたと?」

俺は父の肩を軽く叩きながらだんだんと
声を荒げていった。

慌しい俺の様子に母が気付き、
目を覚ました。
「どうしたの?」

すると母の声に呼応するように
車のスピードが上がりだした。

田舎のくねる細い道を早いスピードで
駆け抜ける。

「あなた、なに?ここどこなの?
早く帰りましょう。」

父の反応はなく、いつもは安全運転の
父の車が凄いスピードで走っている。

通り過ぎた看板で母はその時初めて
車が何処へ向かっているのか気付いた。

このままこの道を行くと、あの山へ
行ってしまうのだ。

母が子供のころから祖母に
行ってはいけないと言われていた
あの山へ。

「あなた、車を止めて!」

「ねえあなた!しっかりして!!」

母は父の胸倉をつかんでぐらぐらと
揺さぶった。

それでも父は全く表情を変えず、
母の必死の懇願にも反応する様子もない。

能面の顔でハンドルだけを切り替えしていた。

車はどんどんスピードを上げ、山道に
差し掛かかる。

297: もっふるさん 2006/11/21(火) 22:59:11 ID:lIvpExQb0
もうあたりには街灯もなく、
車のライトだけが暗く寂しい
山の雑木を照らしていた。

俺は車の中の出来事にもう訳が
分からず泣き叫んだ。

母は泣き叫ぶ私を涙目で見つめると、

「洋介シートベルトしっかり締めなさい。
そしてお母さんの背もたれしっかり掴んどき」

と叫び、大きく深呼吸すると、
サイドブレーキをいきなりグイっと引いた。

車はガチガチガチっと言う大きな音と
激しい振動とともにスピンをはじめた。

タイヤが路面をこすり、減速する。

スピンがおさまり車は反対車線に
半分飛び出した形でようやく停止した。

父はそれでも無表情にアクセルを踏み続ける。
車は大きく唸りながらギシっギシっと
その車体を動かし前へ進もうとしていた。

すかさず母は父の腕をハンドルから
放そうと掴みかかったが父の手は
びくともしない。

バシッっと大きな音とともに
父のメガネが飛んだ。

母がびんたしたのだ。

温厚な父の後を、さらに三歩下がって
ついてくるような母にはそれは
ありえないことだった。

びんたが聞いたのか父は気を失ったように
うな垂れ、アクセルを踏む足が弱まった。

母はアクセルを踏む父の足を払いのけると
キーを抜き車の挙動を完全に止めた。

そして祈るような形でキーを両手で
握り締めると突っ伏してわんわんと泣き出した。

俺もバックシートでわーわー泣いた。

父はうな垂れた顔をゆっくり上げると
「・・・おい、どうした?」
と不安そうに言った。

母が泣き声が号泣に代わり父にすがりつく。

父は状況を良く飲み込めず狼狽した感じで
どうした?どうした?とばかり繰り返していた。

父はその時居眠り運転で事故でも
起こしたと思ったらしい。

翌日母が病院の祖母の元を訪れこの事を話すと
「無事だったけんがよかったなあ」
と言った。

298: もっふるさん 2006/11/21(火) 23:29:42 ID:lIvpExQb0
以上でした。

山とはオカ板でも有名な某山です。

彼はオカルトへの興味も霊能力もない
普通のサラリーマンです。

そんな彼だけに、ぼそっとこういう話を
聞くとすっげー怖かったのですが
やはり体験者の迫力って言うかそんなのが
伝わらないんであんまり怖くないっすけど
楽しんでいただけたら幸いです。

305: もっふるさん 2006/11/22(水) 01:01:59 ID:6kMvTCIaO
>>295
乙!
そこはもしかして芦○?
だとしたらあの山かな。

雰囲気悪いなとは思ったけど

308: もっふるさん 2006/11/22(水) 01:17:43 ID:CDePYMWP0
>>305
F県宗○市です。

山とは、オカ板でもよく名前を見る某峠です。

結局彼は旧道開通時には一度も
行かなかったそうです。


※この報告者さんの他のお話はこちら



引用元
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1162909657/


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