christmas_tonakai

503: もっふるさん 2019/12/04(水) 01:43:13.95 ID:OLjMd2uC
591 名前:おさかなくわえた名無しさん
[sage] 投稿日:2011/11/03(木)
20:02:27.58 ID:g5rysqqu [1/2]

ちょっと上にバイクの話が出てたのと、
時期的に近いのもあって昔の話を一つ。

10年ほど前、大学を卒業し、社会人として
上京した最初の年。

知らない土地で周囲に気を許せる様な人も
おらず、慣れない仕事に四苦八苦していた。

年末も仕事がぎっしり入っており
連日残業、折角のクリスマスも職場を
出たのは23時頃。

帰りにコンビニで買い物して外に出ると、
雪まで降る始末。

いつまでも仕事で成果を上げられず、
毎日目の前の業務に忙殺されて、愚痴も
相談も聞いてくれる人も見つけられず、
世間は浮かれている中自分は遅くまで
残業して、さぁ帰ろうかと言う時に
雪まで降って、寒いやら惨めやら
情けないやらで、建物の横の暗がりで
しゃがみこんでしまった。

どれ位そうしていたか、突然眩しい光に
照らされて思わず顔を上げた。

どうやらバイクが入ってきた様だが、
よくよく見ると乗ってる人はサンタの
格好をしている。

呆気にとられてついまじまじと
見入っていると、それに気付いたか
バイク乗りの方は
「メリ~クリスマ~ス」
とにこやかに声をかけてくる。

以前呆然として声も出ない私。

「…おや、元気ないね。ちょっと待ってて」

バイク乗りの方はコンビニに入ったと
思ったらすぐに出てきて、
「コーヒーとお茶、どっちがいい?
 あぁ、クリスマスプレゼントだから
 受け取って。しょぼいけど」

つられてお茶を頂いて一口飲んだ。
じんわりと暖かかった。

「いや~クリスマスがなんだってんだよねえ
 俺、予定もやる事も何もないもんだからさ、
 ついついこんなカッコでうろついてたんだ
 そしたら街中での人気っぷりったら。
 プライベートはからっきしなのにね~」

と明るい調子で話し始めた。

彼の自虐を交えたジョークなんかもあり、
ついつい噴き出してしまった。

そんな感じで暫く立ち話をした後、
彼はヘルメットに付けていたサンタ帽を
はがして、
「ゴミになる様だったら捨ててくれていいよ、
 手間かけて悪いけど。」
と私に被せて、
「お詫びと言っては何だけど、
 貴方が泣いていた理由を俺が持って
 行ってあげるよ、なんつってね」
と最後まで調子の良い感じで、バイクで
走り去って行った。

帽子の中にはチロルチョコが2個入っていた。

504: もっふるさん 2019/12/04(水) 01:43:52.87 ID:OLjMd2uC
592 名前:おさかなくわえた名無しさん
[sage] 投稿日:2011/11/03(木) 20:03:24.11
ID:g5rysqqu [2/2]

それから、本当は帰郷する予定も
なかったけど何とか電車を手配して
年末年始は実家で過ごし、また頑張ろうと
心機一転、戻ってきた。

あの人の乗っていたバイクを知りたくて
調べている内に段々と話せる人も
増えていき、仕事も何とか回せるように
なり。

なんだかんだで今では夫と2人の子供と
平和に暮らせている。

子供にはサンタさんは本当にいるんだよ、
会った事あるよと話している。

真赤なバイクに乗ったサンタさんに
出会えたお陰で、今のこの幸せが
あるんだと思う。

すいません、書いてたらちょっと
長くなってしまいました。

506: もっふるさん 2019/12/04(水) 19:53:42.66 ID:EPzVJJ+7
泣いた辛い


引用元
https://medaka.5ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1569641975/


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